06 「仙台城大手門と中島の池」周辺 復元 –2 :今なら間に合う「自然空間」の再生
平成10年 仙台市の環境局では、すばらしい自然環境復元のガイドラインを作りました。当時はそれなりに活用されたのでしょうが、今では忘れ去られたようでもったいない資料であります。
「大手門・脇櫓」「中島の池」等の復元検討の中歴史、自然、環境、観光等、広く横断的な協力の下、せっかく作り上げた資料です。十分に活用し、中身の濃い、復元再生事業を展開してほしいものです。
時間をかけても必要な取り組むべき事案と、時間をかけることで失ってしまうような事案、調整が可能な事案とそれぞれ要因はあり、同時に課題を抱えているのでしょうが、これを選択、決定、推進を図るべき立場にある方は、どなたになるのでしょうか。
「中島の池」南岸にあった「中島兵具庫」部分の調査は、すでに表土掘削がされ遺跡が無いようにも見えます。「中島の池」一帯の高低測量調査が先になるのではないでしょうか。この部分、消失していると判断された場合、ここには一般の人が入れないようにして「昆虫・鳥類」等の「営巣支援施設」置き場とするのも一つの方法で、検討する価値はありそうです。又、これら「造形物」は自然環境に溶け込むような作りとし、ここへの入場は厳重に制限すべきと考えます。
「自然環境観察施設」として水辺から、池中心に向けての「桟橋」の設置、池周辺部の水中段差造営も検討事項に加えたいと思います。どのような「植生」が適正なのかの検討、この池が「溜池」として過去の時代の中、どのような役割を果たしたのかの調査、学習するのも、子供たち、市民にとって価値あるもので、単なる「復元再生」事業にとどまらない「地域の歴史」を学びながら「自然との共生」を体験できる「自然公園」ができると思います。
「竜の口渓谷」にいた「穴ドジョウ」は絶滅したのでしょうか。郊外の掘割、いたるところで見ることのできた「メダカ」の大群、春になると顔を出した「カエル」と「オタマジャクシ」、「河鹿カエル」の再生、「トンボ」の群れ飛ぶ姿を次の時代の子供たちと一緒に観察できる空間は出来ないのでしょうか?
第二次世界大戦後、進駐軍の幹部宿舎としてこの一帯が利用され、「中島の池」一帯は、幹部将校の「ゴルフ練習場」として埋め立て整地されたと聞いています。
現在の「中島の池」は、仙台市の管理下にあり、その所有管理の範囲はどうなっているのかは確認できてはいませんが、都市部と違い、ここは「仙台市」「東北大学」「財務局」の話し合いで土地利用についての協議は可能だと思います。市民の為、子供たちの為、訪問者の為の「復元環境整備事業」であれば、「仙台市」が呼びかけ協議を進めるのが最初だと思うのですが、いかがでしょうか。
現在の「中島の池」一帯の風景、上空からの写真(GOOGLEより)には、改修時の石垣の岩のようなものが見えるが、今もあるのでしょうか。
「東北大学植物園」より流れ込む水の「せせらぎ」は透き通った清流で、この「中島の池」が再生された時の美しい風景に期待が持てそうです
この池の水源は、「植物園」の「大深沢」と「本沢」から流入する「湧水」です。かつて「仙台城本丸」の生活水を支えたのも水源の一つ「御清水(おすず)」あったとつたえられ、今でも滾々と水が湧き出でているとのことです。現在、この水源地からの沢筋には、かつての「亜炭鉱」の瓦礫とか、崩壊斜面による散乱した沢石とかがあり、何らかの自然現象等によって「中島の池」まで流出する可能性もあり、安全対策、自然環境保全対策等の検討も必要なようです。一方、天然記念物植生体である「植物園」内での「沢筋保全対策」については、自然環境保持、並びに城郭歴史空間「御裏林」としての構造的保全も重要で、その点についても、改めて総合的な対策検討の必要があります
仙台城「三の丸」の外堀「五色沼」「長沼」の水は、落差4m位ある「中島の池」より流れ落ちています。
「五色沼」については、今年度事業によって池周辺の遊歩道、擁壁工事が完成しましたが、これらは幕末期の「仙台城」には存在しませんでした。「中堤」「土塁下平地」と「遊歩道」については、どのレベルの「文化財保護」対策とするのか、又、これからできるかもしれない「中島の池」の「ビオトープ空間」との関連性をどう位置づけ、対策を講じるのか、これも検討の必要性があると思います。
時間をかけても必要な取り組むべき事案と、時間をかけることで失ってしまうような事案、調整が可能な事案とそれぞれ要因はあり、同時に課題を抱えているのでしょうが、これを選択、決定、推進を図るべき立場にある方は、どなたになるのでしょうか。
大いなる英断をもって「未来の仙台市民」「未来の仙台の街」の為になる、施策に取り組んでほしいと願います。
2019年2月 記
資料 : 仙台市史より : 宮城文化協会 仙台城歴史散策より
: 東北大学名誉教授 佐藤巧先生資料より
: 東北工業大学名誉教授 松山正將先生シンポ資料より
写真 : 仙台市博物館蔵
写真 : 仙台市歴史民俗資料館蔵
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